言い淀み(フィラーワード)について

言い淀み(フィラーワード)について

言い淀み(フィラーワード)について

言い淀み/フィラーとは

言葉がすらすらと出ずに滞る際に言い淀むと「あのー」「えーと」などの意味をなさない発言が言葉と言葉の間に出ることがあります。英語ではフィラー(filler)と言い「um」「ah」「so」などです。パブリックな場では弱さや躊躇いを表すものとして使わない方がよいという指摘もありますが、誠実さ・純粋さの表れとして評価される場合もあります。
「言い間違い」と同じく文章の判読性に影響を与えますが、口調やその場の雰囲気も表すことがあるため、通常は「素起こし」では敢えて残され、「ケバ取り」ではカットされます。

文字起こしの種類・形式として、弊社では3種類の方法「素起こし」「ケバ取り」「整文」を用意しています。簡単に違いを説明しますと、発言の内容をそのまま一言一句起こす(素起こし)か、ある程度整理する(ケバ取り、整文)のかで分けられます。
「ケバ取り」では、言い直しや言い間違い、「えー」「あのー」などの言い淀み/フィラーワードを取り除いた上で書き起こしを行います。発言の内容や主旨はそのままに、可読性をあげ読み易くすることを目的としており文字起こしにおいては一般的な対応です。


言い淀み/フィラーの原因

対話やスピーチにおいては邪魔になりがちなこの言い淀み/フィラーをなぜ使ってしまうのでしょうか。
言語学の研究では、多数の要因が考えられており、それらが複雑に影響しあうので、明確な説明がされているわけではありません。
一般的にはビジネスなどのパブリックな場では少な目になり、友人知人との対話では多めになるという傾向はあります。ただし、人や状況、環境、さらには地域によっても大きな違いがでるので一概には言えません。原因についての考察も「緊張」「考えがまとまっていない」「自信がない」「集中がきれた」などもあれば「口癖」や「ただ口下手」などいろいろです。

言い淀みに困った男性

スピーチや講演などに限定した検証であれば、アメリカの研究では「平均的なプロの講演者は毎分150語のペースで話をする」そうですが、「人が考えるペースは毎分400語」のため、このギャップによりどうしても隙間が発生し、講演者はその隙間が延々と続くように感じてしまうため、ついつい余計な言葉を挟んでしまうことがあるという説明がされています。

またスピーチ等の場において言い淀み/フィラー表現が多用されると、聴衆は話し手に自信がなさそうという印象を持ち、他のことを考え出し集中しなくなって、最後には話の全体像も見えなくなるというような悪影響を及ぼすことが分かっています。そのためスピーチの教本において言い淀み/フィラーは厳禁とされ、できるだけ抑えるように指導されています。

ちなみにスピーチの上級者になると、この隙間を言い淀み/フィラーで埋めるのではなく、「間」として効果的に使いこなすことができるそうです。プレゼンの達人として有名だったアップルのスティーブ・ジョブズ氏は、iPhoneの初お披露目の場において、「2年半、この日が来るのを待っていた」と冒頭で述べた後、その後7秒も沈黙をして聴衆の注意を引き付けています。

スティーブ・ジョブズ氏のプレゼンの様子
出典:ITmedia
[Appleの新たな始まり―
スティーブ・ジョブズ氏基調講演(後編)]

言い淀み/フィラーの効用

それでは言い淀み/フィラーは百害だけあって一利もないのかというとそうではありません。
逆に言い淀み/フィラーが全く含まれていないスピーチは、不自然になりリズムが悪いとして印象が悪くなるという指摘があり、一般的なスピーチでは1割程度の言い淀み/フィラーが含まれることが適切とされています。
また特に対人コミュニケーションにおいて、言い淀み/フィラーに効用・効果がある事例が多数確認されています。「えー」「あのー」「その」などの言い淀みは通常は次の言葉が出てこないときに偶発的に挟まれる言葉ですが、話者が効果を狙って意図的に使っているシーンを紹介します。

デリケートな発言を和らげる

例えばインタビューなどの場において、相手の私生活やプライベートな部分で且つ不名誉とされるような出来事でも敢えて触れる場合、「ほら、あのー、例の…(写真週刊誌に載った)」というような言い回しは、言い難いことであるという認識は持っていますけども、というような気遣い・配慮の一種として受け取られます。

臨場感を作り出す語尾

語尾にはよく口癖が現れます。例えば「ですね」という表現も、「○○が△△をしたことで、××という成果が生まれたのでは」という発言と、「○○がですね、△△をしたことでですね、××という…」とでは受ける印象が少し異なってきます。
「ですね」は単純に一文を区切ることで分かりやすくする効果もありますが、聞き手への相互行為(インターアクション)を意識した言葉にもなっており、例えば政治家が聴衆に対して語り掛けているようなアピールの効果があると指摘されています。

スピーチをする男性

言い難いことを言う場合の前置き

依頼・誉め・拒否・謝罪などの様々な発言の前置きでもよく観察されます。
「ほら、あのー、この前言ってたさ。アンケートの、協力なんだけどさ。えーっと明日の昼頃に行く感じでいい?」「あー、えーっと、それね、あーちょっと、明日はバイトが、ちょっと、代理を頼まれて…」というような依頼にせよ拒絶にせよ、あちこちに言い淀みが入るような会話はよくあります。これが「急遽バイト入ったから無理です」だけで拒絶してしまうと軋轢を生んでしまうかもしれません。

進行過程の修正や発言権の維持

言い淀みは焦っている時には自然に発話されますが、同じような状況で焦っていなくても同様に出てくることがあります。

「この前のテストのとき、A君が凄くフォーマルな恰好してたね」「あーそうだね…あ。あれ、あの、あれは、あれだ。あの後実験があったから。俺もネクタイしてたでしょ」

最初の「…あ。」は会話を一旦同意した後に、それを否定し修正を図る言い淀みです。否定や修正はどうしても発話者への負担となりますので、言い淀みが挟まることでうまくなされることがあります。またこういった言い淀みは会話の流れにおいて、ほかの人へ発言権を譲らずに自分の発言権を主張するという効果もあります。発言権を主張する言い淀みは特に討論の場においてよく観察されます。

会議をする4名のビジネスマン

言い淀み/フィラーを維持した文字起こし

会話の研究やカウンセリング、あるいは裁判、訴訟等の用途においては、上記のような意図的な言い淀み、あるいは言い間違い・戸惑いといった雰囲気も含めた文字起こしが必要となることがよくあります。そういった場合は「素起こし」での文字起こしがおすすめとなります。

しかし一般的な会議の議事録や講演等においては、言い淀み/フィラーは可読性を下げるため、それらは不要とされることが多くあります。そのため一般的には会議や講演の文字起こしは、言い間違い等を除外した「ケバ取り」がおすすめとなりますし、また特に資料としての保存などを目的とする場合は、文章全体を整えなおす「整文」もおすすめになるケースがあります。

発言の一つ一つを深く吟味して、発言者の動機や精神的な心の動きまで捉えたいのか、会議の流れや大意を短時間でつかみたいというような読み易さを重視するかは、文字起こしをした文章の利用用途によりますので、正確な文字起こしが必要な場合は、データグリーンへのご依頼をご検討ください。

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