裁判と文字起こし(反訳)
文字起こしの用途は様々ありますが、今回は裁判分野における文字起こしの具体的な活用方法を紹介します。
音声や動画の内容を文字起こしにより文字(テキスト)に変換することで、情報の正確な伝達、共有、保存が可能になります。発言の詳細や意図が確認しやすくなると、意思決定の過程が明確になり証拠の信憑性も高まるため、教育や研究において参照や分析を行う資料として活用しやすくなります。
特に裁判分野における文字起こし(反訳)は、法的手続きの効率化や正確性の向上に大きく貢献しています。
- 裁判記録の作成 法廷での証言や口頭弁論の記録:裁判中に行われる証言や口頭弁論は、後に精査される重要な証拠となります。文字起こしにより、これらの口頭でのやり取りが正確に記録されます。
- 弁護活動の支援 証言内容の分析:弁護人が証言や法廷での発言を後から確認し、戦略を立てるために活用します。細かなニュアンスや発言の一貫性を確認しやすくなります。
- 判決文の作成支援 法官による判決文の作成支援:裁判官は、法廷での証言や弁論を基に判決を下します。文字起こしされたデータは、判決文の作成に役立ち、法的な根拠を整理する助けとなります。
- 控訴審での証拠提出 上級裁判所での審査:控訴審では、下級審の裁判記録が重要な役割を果たします。正確な記録を上級裁判所に提出できるため、裁判の透明性と公正性が保たれます。
- 法的研究や教育 法学教育や研究の資料:裁判の記録は法学研究や教育のための貴重な資料となります。裁判記録は、ケーススタディや法的議論の材料として広く活用されます。
- 裁判の透明性とアクセス向上 市民や報道機関のアクセス:裁判記録が公開される場合、裁判の内容が一般市民や報道機関にとって理解しやすくなります。これにより、司法手続きの透明性が向上します。
「裁判記録の作成」「弁護活動の支援」「控訴審での証拠提出」のための文字起こしのご依頼はデータグリーンでも数多く実績がありますが、それ以外でも裁判の前段階での警察や弁護士に相談する際の資料としての文字起こしのご依頼も多数あります。
裁判や調停での証拠としての録音データの利用
会話の音声や動画は証拠として有力なものとなる場合がありますが、その利用の際には注意が必要です。例えば、発言の一部だけ切り取り、前後のやり取りや対話の背景が欠けている場合、発言の意図や意味が誤解されるリスクが高くなります。そのため録音データを編集して提出することは、法律上禁止されているわけではありませんが、編集の理由を確認されたり、あるいは不必要に切り取りされているとその前後に不利な発言があったと思われることもあるようです。
また録音データを法廷で流しながら確認することも可能ですが、実際には録音データを裁判の場で直接的に活用することはほとんどないようです。監視カメラやドライブレコーダーの動画であれば早回しやスキップなどをして事件・事故の瞬間を確認することが容易ですが、会話をそのように切り出してしまうと誤読のリスクを高めてしまうからです。
そのため録音データを文字に起こしたもの、これを反訳書といいますが、録音データの提出の際には、反訳書とセットで提出することが求められ、そして反訳書の方を主な書証として裁判が進められることになります。
文字起こし業者に依頼するメリット
反訳書を裁判で証拠として活用するためには、より正確性と信頼性の高い反訳書の作成が重要となります。証拠として提出される反訳書に不備があると証拠能力が損なわれ、裁判官の心証が悪くなり、裁判で不利になる可能性もでてきます。
ノウハウを備えた文字起こし専門業者に依頼するメリットとして以下のような点があげられます。
1.正確性
会話や発言をできる限り正確にテキスト化することが重要です。例えば話し手の言葉遣い(方言)などの反映も求められることもありますが、専門業者の場合は経験豊富な熟練ライターが作業するため、そういった点も含めて誤字脱字や不明瞭箇所の少ない証拠としての信頼性が高い反訳書の作成が可能です。
2.豊富な経験と知識
裁判用文字起こしで特定の書式や特殊なフォーマットでの対応が必要なケースの場合、豊富な経験と知識でお客様や弁護士の要望に対応することが可能です。
3.スピーディーな対応
長尺の音声やノイズ等が多く聞き取りに苦労する音声でも、裁判のスケジュールに合わせて対応が可能なほか、急な依頼にも柔軟に対応することが可能です。
また専門業者に依頼すると、第三者としての客観的な視点で作成されたという公平さが担保され、信頼を得やすくなるという副次効果もあります。
裁判用途の文字起こしを依頼する際の業者選びのポイント
1.情報保護
裁判が必要なトラブルの場合、証拠となる音声データにはお互いのプライバシーに関わる重要な個人情報が多く含まれています。情報漏洩のリスクを抑えるため、プライバシーマークや情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得しているかなど、客観的な指標を確認しましょう。
2.固有名詞や状況の説明
音声内に出てくる固有名詞や簡単な状況の説明など、音声に関する情報は多ければ多いほど内容の理解がすすみ、作業がスムーズかつ正確になります。特に発言者が複数いる場合、発言者の性別や年齢などの情報が多いほど話者の区別が付きやすくなり、作業の正確性が向上します。問い合わせや相談がしやすい業者を選びましょう。
3.反訳書の校正
文字起こしは経験豊富な熟練ライターが作業を行っても、音声が不明瞭であったり、発言が重なることでうまく聞き取りができず、聞き取り不能な箇所が生じてしまう可能性があります。そのため、当事者であるお客様が反訳書と音声データを確認することで聞き取りが可能な場合、頂いたフィードバックを元に再度聞きなおしを行い、より正確な反訳書を作成することが可能な業者選びが重要です。
反訳書における文字起こし
起こし方
文字起こしには一般的に、素起こし・ケバ取り・整文という3つの起こし方があります。反訳書における文字起こしは、言葉の意味合いなどの証拠能力を損なわないよう、正確さと細部への注意が求められます。そのため発言を一語一句正確に記録する「素起こし」が通常の起こし方となります。
ただ裁判の内容や使用用途によって起こし方の希望はそれぞれであるため、言いよどみや言い間違いなども含め正確な文字起こしが必要なのか確認する必要があります。
書式
書式指定は、使用する目的やその文書が提出される場所、関連する規定によって異なります。「レイアウト」「フォントとサイズ」「行間」「話者表記」「必要な記載項目」など裁判所や法律事務所によって規定が異なるため具体的な要件を確認することが重要となります。
データグリーンでの基本書式は以下になります。
- タイムコード
始まりと終わりに記載し、約5分間隔で文章の間にも挿入。 - 聞き取り不能箇所
うまく聞き取りができない箇所に関しては、●●で表記し、タイムコードを記載します。 - 聞き取り不鮮明
該当箇所を色塗りし、特定ができない単語に関してはカタカナ表記をしてタイムコードを記載。 - 話者表記
「誰が」「何を話しているか」をわかりやすく伝えるため、それぞれの発言の前に話者名を記載することが重要です。
弊社書式では基本的にアルファベットで話者の表記が会話の初めに入りますが、お客様指定の表記にて話者識別も可能でございますのでご希望の場合はご相談ください。
※音声の状態によっては話者の特定ができず、改行や「?」の表記になる場合があります。
基本書式には含まれていない、例えば沈黙の時間を記載するなどのお客様の指定フォーマットに合わせた文字起こしも可能でございます。納品サンプルや指定フォーマットをご用意の上ご相談ください。
証明書発行について
裁判や法的手続きにおいて、文字起こしされたデータを証拠として提出する場合、証拠としての信頼性を確保し、改ざんや編集が行われていないことを証明するために第三者証明書が必要になることがあります。第三者証明書が必要かどうかは、その使用目的や文書の重要性に応じて決まります。法的手続きや公式な用途では、証明書が求められることもあるため、使用する文書の目的に応じて必要な手続きを確認することが重要です。
データグリーンでは、文字起こし証明書の発行も可能です。発行希望の場合はお問い合わせください。
データグリーンなら
音声データの解析技術と熟練ライターの豊富な経験・ノウハウを組み合わせ、音質が悪いデータでも「精度の高い反訳サービス」を提供しております。さまざまな状況で録音された音声についても、まずはご相談いただければ、音声を確認しお見積りをご案内いたします。お気軽にご相談ください。