文字起こしにかかせない「録音」の歴史
文字起こしにかかせない録音について、その歴史を振り返ってみましょう。
文字の記録は太古から行われてきましたが、音自体の記録が可能になったのは近代になってからです。それ以前の時代は、音の記録は口伝や声帯模写などに頼るしかなく、あるいは楽譜のように間接的な形でしか音を伝えることができませんでした。
黎明時代
1857年 | 音声を波形図に変換して記録する装置であるフォノグラフが発明。地震計のように音の波形を記録するだけの装置でしたが、これが蓄音機の原型となります。 |
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1877年 | トーマス・エジソンによって蓄音器が発明。当初は数十秒程度の音を録音・再生できるものでした。 |
1887年 | グラモフォン(円盤式蓄音機)が登場。レコードの原型で、録音可能時間が長く、プレス装置で容易に成型・生産も出来るものでした。 |
1889年 | ブラームスが自ら「ハンガリー舞曲第一番」のピアノ演奏を録音。これが歴史上初めてのレコーディングとなります。 |
1927年 | 映画に音声がつくようになります。フィルムの余白部分に音声信号が記録されていました。また同時期にコイン投入式のジュークボックスの普及により、レコードが広まっていくようになります。 |
レコードとテープの時代
1938年 | 磁気テープの原型が開発。ただし素材が非常にもろく、繰り返し再生が難しかったため、しばらくの間はレコードが主役となっていきます。 |
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1948年 | コロンビアがLPレコードを発表。 |
1949年 | ビクターがヴィニールレコードを発表。 |
1958年 | ステレオレコード基準が確立。 |
1963年 | フィリップスがカセットテープを発表。それまでのオープンリールからコンパクトなものに変わりました。技術を無償公開したため一気にひろまり標準規格となります。 |
1968年 | ソニーがコンパクトカセット式のテープレコーダー「TC-50」を発売。マイク内蔵のレコーダーで、アポロ10号でも利用されています。 |
デジタルメディアの開発時代
1972年 | 当時のDENON(現日本コロムビア)がデジタル録音に成功。映像記録用テープ(VTR)にデジタル音楽を記録できるPCMレコーダー「DN-023R」を開発します。当初はデジタル記録に最適な量子化ビット数やサンプリング周波数も手さぐり状態で13bit・47.25kHzという中途半端なものでした。 |
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1974年 | コンパクトカセットの約1/4サイズとなるマイクロカセットを利用したレコーダーが規格化、発売される。 |
1977年 | ソニーがVTRへのデジタル録音機「PCM-1」を発売。 |
1979年 | ソニーがウォークマンを発表。カセットテープの普及が爆発的に進みます。この頃には量子化ビット数が16bitで統一されるようになります。 |
アナログとデジタル
アナログメディアであるテープやレコードとデジタルメディアの大きな違いとしては、繰り返し再生や自然劣化への耐性、特定部の頭出しのしやすさなどの利便性の違いがあげられます。
特に文字起こしの現場においては、特定部分の繰り返し再生や頭出しなどの機能は必須です。アナログ時代の文字起こしが、専門の指導・教育を受けた職人芸とされていたのはそういう事情があります。
またデジタルデータであるということは編集のしやすさもメリットになります。特定波長のカットや増幅などの対応も文字起こしの現場においては必須の機能です。
なおデジタルデータそのものは劣化しませんが、CD-RやDVD-Rなどでは表面の傷などによる劣化もあれば、内部の材質(例えば色素やアルミ)の寿命などがあり、保管方法にもよりますが、10年・20年で限界を迎えることもあります。
大事に保管されている何十年も前のアナログレコードはまだ再生ができるものがありますが、雑に扱われた十数年前のCDだと、もはや再生することができないということもありますので、取り扱いには注意しましょう。
デジタルの時代
1982年 | 5インチCDの販売開始。デジタル音源の供給が始まります。 この頃には、カセットテープのシェアがレコードを上回り始めます。 |
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1985年 | 「CD-ROM」が音声、映像、文字用として規格化されます。 |
1987年 | CDに匹敵する高音質なデジタル記録が可能な「DAT(Digital Audio Tape)」が誕生します。 |
1988年 | カセットテープの販売がピークに、これ以降売上が下がり始めます。 |
1991年 | MP3が発明。ICレコーダーの利用も始まりだします。 またCDのシェアがカセットテープを上回るようになります。 |
1992年 | ソニーがMD(ミニディスク、エムディー)を発売。 カセットテープにかわる録音メディアとして普及します。 |
1993年 | 映像、音声両用の「ビデオCD」、音声、映像、文字用の「MDデータ」が規格化される。 |
1995年 | CDと同じ大きさで約7枚分の容量の「DVD」が規格化される。 同時期に「Windows95」が発表。家庭用コンピューターの時代が始まり、CD-Rの作成が容易になりだすなど、音声の録音や再生、編集がぐっと身近になります。 |
携帯の時代
2001年 | アップルがiPodを発表。デジタル音源の転換点となります。 CDのシェアが下がり始めます。 |
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2003年 | iTunes Music Store(現iTunes Store)のサービスが始まる。 ついにテープ・レコード・CDのようなモノに頼らなくなっていきます。 |
2007年 | アップルがiPhoneを発表。 |
2008年 | Android搭載のスマートフォンが発売。 |
2000年以降、フラッシュメモリの大容量化・低コスト化に伴い、カセットテープへの録音はほぼ見られなくなります。以降、手軽な録音メディアとして主流だったICレコーダーも2018年頃には新製品の発売はされなくなっています。携帯電話端末の高性能化により、ICレコーダーの機能はほとんど取り込まれてしまっており、ICレコーダーとしての役割は終えたようです。
また2000年以降インターネットの成長とともに、オンライン会議も一般的になっていきます。オンライン会議のシステムは2010年代から流通はしていましたが、一般にまで広まったのは2020年のコロナ流行からでしょう。
オンライン会議ではストリーミングのデータをそのまま直接録画・録音をしたうえで、さらにAIを使って自動で文字起こしまで行うトランスクリプション機能が実装されています。
録音や文字起こしという役割自体が意識されない時代になりつつあります。
携帯電話を利用した録音について
スマートフォン/アイフォンとICレコーダーの違い
スマートフォンとICレコーダーの録音における大きな違いは、録音用マイクの性能です。
ボイスレコーダーは十分な性能を備えたマイクを装備していますが、スマートフォンは通話用のマイクで兼用しているため、少しでも録音の質を向上したい場合は外部マイクの利用をお勧めします。
録音した音声の保存先
iPhoneのボイスメモ
iPhoneの標準録音アプリは「ボイスメモ」が用意されています。
録音されたデータは基本的には、ボイスメモアプリ内の「すべての録音」フォルダに保存されます。ボイスメモで録音したデータのファイル形式は「m4a」になります。iCloud DriveやiTunes、メール添付でパソコンなどに録音データを転送できますが、「すべての録音」から操作することになります。
Androidでの録音
Androidはメーカー毎に標準アプリが異なります。基本的に保存先は統一されており、「Recordings」などのフォルダに保存されます。「設定」→「ストレージ」→「音声(Recordings)」の順でたどると、ファイルを確認する事が可能です。ファイル形式は「mp3」や「m4a」が主流となります。
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