おすすめボイスレコーダー、スマホ用マイク
レコーダーの歴史
会議や面談、電話など、音声の録音にとても便利なボイスレコーダーですが、本来は航空機の操縦席(コックピット)に搭載されたものを指す場合が多く、コックピットボイスレコーダー (CVR)ともよばれていました。
かつては、始点と終点の境目がない輪状になった磁気テープを密閉容器に格納したエンドレス・テープレコーダーでしたが、磁気テープは熱に弱く長期間使用していると劣化しやすいため、近年ではフラッシュメモリを搭載したものが主流となっています。
また記者が取材の際に使用するものも同様にボイスレコーダーとよばれます。こちらも以前はカセットテープを使用したものでしたが、フラッシュメモリを搭載した小型で携帯性の高いICレコーダーが一般的になっています。
ICレコーダーもボイスレコーダーも実は同じものになります。ICレコーダーのICは集積回路(integrated circuit chip)のことなので記録するメディアのことを示し、ボイスレコーダーのボイスは声(Voice)のことなので、記録対象のことを示しているというだけの違いです。ボイスレコーダーの方が対象としては広いので、ICレコーダーはボイスレコーダーの一種といえます。
ちなみにボイスレコーダーもICレコーダーも和製英語になり、英語ではdictaphone(ディクタフォン)となります。ただし最近では英語圏でもVoice Recorder(ボイスレコーダー)で通じるようになっているそうです。
音声録音機として近年主流となったICレコーダーは、音声を電子信号に変換して、半導体メモリに保存する機器です。1990年代ごろから復旧しはじめたといわれており、数千円程度の手ごろな価格のものから非常に高価な高機能モデルまで、様々な製品が発売されています。
過去のテープメディアと比べると、小型化・省電化が進み、またデジタルデータの特徴として、音声が劣化しない、頭出しなどが容易、データの削除や整理整頓も簡単に行えるなど、利便性も著しく高くなり広く普及するようになりました。
用途にあわせた機種選び
ボイスレコーダーの選び方のポイントをご紹介します。
会議や講義、インタビューなどに
複数人が参加する会議を想定した場合は、音の立体感も聞き分けやすくなる「ステレオ録音」に対応しているものがおすすめになります。音源の左右差まで録音できるので誰の発言かまで分かりやすくなります。
他に、レコーダーと発言者の間に距離がある場合ではマイクの指向性を調節するズーム・フォーカス機能が、特に講義やインタビューの際に効果を発揮します。
また録音後に聞き取りをすると、空調音や紙の捲り音、プロジェクターの動作音などが耳につくことがあります。こういった環境音や周囲の雑音を自動で低減してクリアな音質になる「ノイズキャンセリング機能」や、人の声(ボイス)を強調する「ボイス機能」を備えたモデルは用途を問わずおすすめです。
Keyword
ステレオ/マイクの指向調整/ノイズキャンセリング
語学学習に使いたい
再生時の補助機能、例えば再生速度の調節や繰り返し、短時間の巻き戻しなどの聞き直すための機能をまず抑えておきましょう。
またシャドーイング(手本を聴きながら即座に発音するトレーニング)やリピーディング(文節単位で手本を聴いた後に発音するトレーニング)がしやすいように、リピートしながら、間に無音量の区間も自動で生成してくれる機能が追加されたモデルもあります。
他にはスピーカーの品質も聞き取りの負荷軽減に重要な要素になるので、スピーカーが高性能なモデルもおすすめになります。
Keyword
再生速度の調節/シャドーイング機能/スピーカー
ポケットに入れて録音
胸ポケットに収まりやすいスティック状のものや、ペンやネクタイピンなどの形状をしたものなどの小型タイプのボイスレコーダー/ICレコーダーは、設計上の限界により、録音可能時間や録音容量に制限があることも多いので注意が必要です。ただし省エネタイプで長時間録音に特化したものだと、200時間近く録音ができる機種もありますので、使用条件に応じて選択可能です。
ポケットやカバンの中に入れて録音する場合、マイクを塞いでしまうことや、衣擦れ等によりノイズ音ばかりが大きく拾われることがよくあります。本番の録音の前に試し録音を繰り返して、例えばハンカチ等で動かないように固定するなどの工夫も必要です。その場で急に録音をすることもある場合は、録音と停止がワンボタンになっているなどワンタッチで簡単に操作可能なものもおすすめになります。
Keyword
録音可能時間/ノイズ対策/ワンタッチ
とにかく高音質にこだわる
音質にこだわりたい場合、一番のポイントはマイクの性能になります。複数のマイクが内蔵されており、原音に近い音がとらえられるタイプや、マイクを可動させることで左右の音ズレが少なくなるよう工夫しているタイプなど、ハイレゾ音源が堪能できることを銘打っているモデルを選びましょう。
また音声のファイル形式もmp3などの不可逆圧縮のものではなく、可逆圧縮なFLAC形式に対応しているものもおすすめです。
Keyword
ハイレゾ/複数マイク/FLAC
録音さえできれば構わない
逆に音質にこだわりが全くない場合のおすすめとなると、最低限の機能のみのモデルとしては1000円以下の機種もありますが、もっと手軽に携帯電話(スマートフォン・アイフォン)の録音機能の活用もおすすめになります。殆どの機種で、音声メモ・伝言メモ・ボイスメモとして簡易録音機能が標準搭載されており、レコーダーとしての最低限の実用性は十分にあります。あるいはもう少し使い勝手が良いものが欲しい場合は、Google Playなどからアプリのダウンロードも可能です。
Keyword
音声メモ/伝言メモ/アプリ
おすすめのボイスレコーダー
上記を前提として、いくつかお勧めのボイスレコーダーをご紹介します。
横にスクロールしてご確認ください
メーカー | SONY | OLYMPUS |
---|---|---|
型番 | ICD-PX470F | DM-750 |
録音形式 | リニアPCM/MP3 | リニアPCM/MP3 |
対応音声形式 | MP3、WMA、AAC | WAV、MP3 |
内蔵メモリ | 4GB | 4GB |
内蔵メモリ録音時間 | 5時間 | 5時間 |
外部メモリ対応 | microSD/microSD HC 32GBまで |
microSD/microSD HC 32GBまで |
外部メモリ録音時間 | 44時間 | 44時間 |
周波数範囲 | 50Hz-20,000Hz | 20Hz-20,000Hz |
電池持続時間 | 40時間 | 26時間 |
PC接続 | USB端子 | USB端子 |
特徴 | 充電式と電池式の両方に対応しています。声を狙って録音する「フォーカス録音」、位置ごとの声を録音する「ワイドステレオ録音」、ノイズ低減の「クリアボイス機能」などの便利機能があります。 | 3つのマイクで音を豊かにとらえるTRESMIC機能、環境ノイズを低減する「2マイクノイズキャンセル」機能、遠くの声もフォーカスする「ズームマイクモード」機能などが充実しています。 |
おすすめのスマホ用マイク
最近は専用のボイスレコーダーではなく、スマートフォンを利用して手軽に音声の録音することが増えています。そのため2020年頃から汎用的な高品質レコーダーは発売されなくなっており、格安モデルや超小型タイプなど特化した製品のみとなっています。最新モデルのレコーダーを継続的に紹介していくのが難しくなってきたので、スマートフォン向けのおすすめマイクを紹介することにします。
スマートフォンとボイスレコーダーの録音における大きな違いは、録音用マイクの性能です。ボイスレコーダーは十分な性能を備えたマイクを装備していますが、スマートフォンは通話用のマイクで兼用しているため、ちょっとした環境のズレで音がうまく拾えずに低品質な録音になることがしばしばあります。こういう場合は、スマーフォンに外部マイクを追加することで、高音質な録音が可能になります。
■選ぶ際のポイント
人数やマイクの設置位置など、環境に応じてマイクの指向性を選択しましょう
・単一指向性のマイクは、正面で話す声など、決まった方向からの音だけを拾い、周囲の雑音を拾いにくくなっています。講演や授業、あるいは自撮りなどの1人の発言を録音するのに向いています。
・双指向性のマイクは、前後の2方向からの音を拾います。側面の音は拾いにくいので、会話のキャッチボールが発生する対談やインタビューなど、向かい合う2人での録音におすすめです。
・全指向性(無指向性)のマイクは、向きに関係なく広範囲に音を拾います。そのため会議などの多人数の会話録音におすすめとなります。ただし、ノイズも多くなる傾向があるので録音時の設定には注意が必要です。
■Android向け
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■iPhone向け
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文字起こしは音声データの品質によって作業難易度、費用が変動します。ご予算と用途にあわせてボイスレコーダー/ICレコーダーやスマホ用マイクの機種を選定し、できるだけクリアな音質で録音されることをおすすめします。