句読点と文字起こし

句読点と文字起こし

句読点と文字起こし

日本語においての句読点は、文章の構造や意味を明確にするために使われます。
ただし句読点の使い方について明確で客観的なルールというのは案外少なく、国語の教科書でも大まかに定められている程度です。
日本語の句読点の使い方については他の言語と比較しても寛容とされており、多すぎても少なすぎても、文法的には間違いとされることは殆どありません。


読点の共通理解

客観的なルールは少ないとされながらも、実際のところ句読点について日本人はある程度の共通理解を持っているとされています。
平成27年に東北大学でおこなわれた『日本語文理解における読点の役割についての認知心理学的研究』では、日本人の句読点の使い方の傾向について興味深い話が紹介されています。

この研究では「句読点を抜いた文章に、必要と思うだけ"読点"を足してもらう」という実験を行っているのですが「"読点をつける数"には個人差があるものの、"読点を打つ場所"には大きな違いがなかった」という結論になったそうです。

つまり、多い/少ないで差はあるにせよ、読点をつけるべきと思うポイントについては多くの人が同じ感覚を持っているということになります。

しかし句読点が変な位置にあると読みにくく、誤読してしまうこともあります。
句読点の使い方やそのコツについて、代表的な事例をもとに解説しますので、文章を書くときには少し気にかけてみてください。


句読点とは

句読点とは文章の区切りに使用される符合・記号のことです。「」(カギ括弧)、!(ビックリ)、?(ハテナ)、・(中黒)、-(ハイフン)などの仲間になります。
いずれも文章の可読性をあげるためのもので、区切りをつけて読みやすくする、あるいは意味を限定するために使われます。

句点は文章の終わりに使う「。」
読点は文章の区切りに使う「、」
句読点として一緒に扱われますが、句点については、明確にルール化がされており、工夫するところもあまりありません。
逆に読点はルールが多種多様に存在し、工夫の余地が多くみられます。

まずは句点について簡単に解説します。


句点と例外ルールについて

文の終わりに使われ、文の終わりが明示されます。
例外ルールがいくつかあります。
代表事例は他の記号との併用で、例えばカギ括弧内では文末には句点は使わないのが原則となります。

 彼女は「ありがとう」と言った。
× 彼女は「ありがとう。」と言った。

括弧の直前に主語があり、述語が省略されているとみなされる場合はつけます。

 彼女は一言「ありがとう」。

※上記は"と言った"が省略されています。
※読み物的な表現で使われる形式なので、文字起こしの現場ではあまり見かけません。

他に「?」や「!」との併用ではつけませんが、「…」「‐」にはつけるというルールもあります。

 彼女は「ありがとう」と言った!
 彼女は「ありがとう」と言った…。

そのほか、小題や見出し、タイトル、キャッチコピーなどでは文末の句点は省略されることが多いです。

ただこれらのルールも明確なのは文末に使うというだけで、併用の際の細かなルールについては、文章内で統一されていれば問題はないとされる意見もあります。


読点の役割とルール

読点の役割は大きく分けて2つあります。 1つは文章を整え、読みやすくするためのもの。 もう1つは文章の解釈や内容が難しい場合や、複数の意味で捉えられる場合に限定するためのもの。 小学校学習指導要領には下記のようにまとめられています。 上が1、2年生向けで、下が3、4年生向けになります。

『句点については,文を書く際には,文末に必ず句点を打つように指導し,文意識を育てていくようにすることが大切である。
読点については,文頭の接続語などの後,主語の後,従属節の後,並列する語の後など必要な箇所に打つことを理解することが重要である。(p.44))』

『第3学年及び第4学年では,それらに加え,文を読みやすくまた分かりやすくするために,文脈に合わせて適切に打つことができるようにすることが求められる。
その際,「カ 主語と述語との関係,修飾と被修飾との関係,指示する語句と接続する語句の役割,段落の役割について理解すること。」と関連付けて指導することが有効である。(p.79)』

上記のまとめについて少し解説します。

最低限必要とされている箇所

文頭の接続語
「しかし」「だから」「つまり」のような接続詞、他に「以上のことから」などのよう繋ぐ言葉の後にも推奨されています。

主語
主語+助詞の場合でつけることが多くあります。
「太郎は」の「は」のような助詞の後、他に「も」「さえ」「でも」「ばかり」「こそ」「など」のいわゆる”取り立て助詞”の後になります。
ただし助詞は豊富にあるので同じ助詞でもルールが微妙に変わっていきます。
「が」「を」「に」「で」などの場合はつけない場合が多いですが、主語部分が名詞句(節)になっているとつけた方が読みやすくなる場合があります。

例えば「彼女が毎朝散歩する公園の中にある大きな赤い石のベンチに、彼の友達である大学の教授が座って~」は「ベンチ」+「に」ですが、つけた方が読み易いでしょう。
しかし名詞を繋ぐ「と」「や」などにはつけません。

従属節
従属節+主節の2つの節の間で使います。
例:「お腹がすいたら、おにぎりを食べる」

並列する語
「あかいこと、まるいこと、おおきいこと、うまいこと」のように名詞や形容詞などを並列でつなげる場合の区切りに使います。

ただしこれらはあくまでも読み易くするための目安ですので、つけてもつけなくても文法的な正解や間違いというわけではありません。特に一文が短い場合は上記のルール通りにはつけないことがよくあります。
また短い文章でも下記のような一文なら逆に積極的につけた方が読み易くなります。

× 「さんままたははまちはいくらですか」
 「さんま、または、はまちは、いくらですか」

原理原則と、読みやすさを天秤にかけながらバランスよく読点をつけましょう。

「ギナタ読み」とは

また上記以外にも、読点の例題に使われる有名な文例があります。

× 「ここではきものを脱ぎなさい」
 「ここで、はきものを脱ぎなさい」
 「ここでは、きものを脱ぎなさい」

「履き物」と「着物」の違いです。
切れ目をどこに作るか次第で別の意味になる文章・単語のことで「ギナタ読み」といいます。ダジャレや川柳などで使われることがよくあります。

他にも以下のような例があります。

  • あくのじゅうじか →悪の十字架 or 開くの十時か
  • ゆでたまご →ゆで卵 or 茹でた孫
  • ねえちゃんとおふろ →ねえ、ちゃんとお風呂 or 姉ちゃんとお風呂

由来は「べんげいがなぎなたをもって(弁慶が薙刀を持って)」という一文が「べんげいがな ぎなたをもって」とよく誤読されていたことからのようです。

小学校低学年や日本語習いたての外国人のように、ひらがなが中心の文章で、且つ読み手の語彙も少ない状況では、読みやすい方向についつい自身を誘導してしまうので、結構な頻度で「ギナタ読み」が発生するそうです。
「ギナタ読み」は漢字を使えば防げますが、漢字を使いたくない・使えないケースでは、読点や記号を活用することで防ぐことができます。

主語と述語との関係、修飾と被修飾との関係について

分かりやすく言い換えると、長い文章の時には、適宜に読点をつけるということです。 例えば従属節と同様の考えですが、重文の境目につけるということがあげられます。

 「おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました」

長い修飾語が含まれる一文の場合も、適宜につけます。

 「昨日、青々と茂った木々や色鮮やかな花々、そして鳥たちが歌う美しい自然の中で、私は大好きな本を読む贅沢な時間を過ごしました」

※上記はChatGPTで長い修飾語を使った文章の例文として生成。

誤読を生むようなかかり方をする文章にも積極的につけましょう。

× 「探偵はタバコをふかしながらとぼける犯人を追い詰めた」
 「探偵はタバコをふかしながら、とぼける犯人を追い詰めた」
 「探偵は、タバコをふかしながらとぼける犯人を追い詰めた」

この場合タバコをふかしていたのは探偵なのか、犯人なのかは読点の位置で決まります。

同様にかかる語句と受ける語句が離れた文章も句点を挟むことで分かりやすくなります。

× 「探偵が私が嫌いな花子さんを私の親友の太郎君に犯人だと示した」
 「探偵が、私が嫌いな花子さんを私の親友の太郎君に犯人だと示した」

もちろんこのような文章の場合は、順番を整えて構造自体を工夫する方法もあります。

 「私が嫌いな花子さんを私の親友の太郎君に探偵が犯人だと示した」

なお実際の文字起こしの現場では、文章を直接的に整える「整文」の場合では構造自体を修正することがありますが、言い淀みなどをカットする一般的な「ケバ取り」、発言の内容をそのまま一言一句起こす「素起こし」では、読点での調節は行いますが文章自体を大きく書き換えるような修正はされません。

発言の一つ一つを深く吟味して、発言者の動機や精神的な心の動きまで捉えたいのか、会議の流れや大意を短時間でつかみたいというような読み易さを重視するかは、文字起こしをした文章の利用用途によりますので、正確な文字起こしが必要な場合は、データグリーンへのご依頼をご検討ください。

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